渡辺省亭@銀座ーパリ万博で印象派と出逢った日本画家の回顧展

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  先週、東京銀座の加島美術で開催されていた日本画の美術展を観てきました。

名前は渡辺省亭(わたなべせいてい)。パリつながりの友人のFBを通じて初めて知った画家です。今年11月にフランス、パリをテーマにしたイベント催事に参加する予定で企画のネタ探しをしている理由から、「19世紀末パリ万博に派遣され、印象派の画家たちと交流を持った」という彼のプロフィールがとても気になりました。実際に作品を観てみると、確かに伝統的な日本画でありながら、その構図や描きかたにはどことなく新しさが感じられます。特に花の描き方は、従来の日本画にはない、華やかで透明感のある色彩、大胆な配置が印象的で、アールヌーボーの作品に通じる和洋が混在した魅力を感じます。

 

 

  図録には、「神田東紺屋町の菊池容斎に弟子入りし、伝統的な「花鳥画」の技術を習得した省亭は、その後芸デザイナーとしてのセンスを磨き、欧米人好みに対応した工芸図案の改良に貢献した」とありました。当時勤めていた会社から派遣されるという形で、明治11年(1878年)に開催されたパリ万博のために渡仏。その際の出品画は、マネの弟子であったイタリア人画家が買い取り、現在は米国ワシントンのフリーア美術館に収蔵されているそうです。

 

 

 

  在仏中、彼は、パリの日本美術愛好家のサロンに出向き、批評家のエドモン・ド・ゴンクールやエドガー・ドガら印象派の画家の前で彼の持つ日本画の技法を披露し、魔法のような素早い筆先で描く動植物は人々を驚嘆させたという逸話が残っています。西洋人を驚かせただけでなく、省亭自身もまた、洋画に接することで色彩の新鮮さや光の描法に深く啓発されたことは想像に難くありません。この「群猿図」は、実際には滝の上に伸びた枝に座る高所の猿3匹と、地に座る2匹の猿からなる双幅(左右一対の掛軸)で、水墨のみの表現ですが、ふさふさした毛を濃淡で表現し、その立体感が際立ちます。顔のシワ、指先なども従来の平面的な日本画に比べると非常にリアルです。

 

 

  こちらは展示品中特に心惹かれた作品の一つ、「雨中桜花つばめ図」。雨降る中、散る桜の行方を目で追う鳥。奥の2羽には濃淡をつけ、手前の1羽を丸い背中のみを描き、か細い桜の枝にとまる3羽の塊が絶妙な安定感を醸し出し、この画家の力量が十二分に発揮されている作品だと思います。花をつけた桜の枝に鳥を合わせて描くのは省亭お得意のモチーフで、これによく似た構図の作品を米国メトロポリタン美術舘も所蔵しているそうです。「海外の日本美術愛好家は日本人が想像するよりはるかに多く、多くの優れた日本の美術品が海外に流出することに歯止めをかけるため」と、ボランティアとして運営に参加しているという方が作品の解説と共に今回の展示会の趣旨を語ってくださいました。

 

 

  そしてこちらの「昇旭之図」。あれ、どこかで見たような?一目見て頭にすぐ浮かんだのは印象派の名前の由来となったモネの日の出です。「日の出」は1872年に描かれたとされていますから、省亭が渡仏した1878年に、何らかの経緯でこの作品を実際に見たり、話を聞いたりする機会は、印象派画家のサロンに出入りしていた彼ならば十分にあったはず。実際に、省亭は即興で書いた絵を名前を記してドガに贈ったという記録も残されていて、パリ万博時代の東西の画家の交流を示す興味深いエピソードの一つですが、その作品はドガの没後オークションにかけられてやはりそれもアメリカへ渡ったそうです。

 

  予想以上に興味深い発見が幾つもあった「渡辺省亭」展。東京では、国際国立博物館、根津美術館、赤坂迎賓館などでもこの時期に省亭の作品が公開されていますと会場で伺いました。残念ながらこれらの機会は逃してしまったが、ぜひ作品を観てみたいと思われる方は、こちらのオフィシャルサイトで今後の展示情報をチェックできます。現在も進行中の展示会があり、また来年は、省亭生誕100年を記念して、日本各地で作品が公開される予定だそうです。

 

 

  加島美術は、メトロ京橋駅下車。東京ガーデンスクウェアのすぐ横。東京駅からも徒歩圏の近代的なオフィスビル街であるにも関わらず、昔ながらの古美術店や画廊があったり、古い日本家屋がモダンなダイナーとして再生されていたりして、ギャップのある面白い界隈でした。この土曜日の朝は、すぐ前の大通りで、今シーズンスタートしたテレビドラマ「人は見た目が100%」のロケが偶然にも進行中、ブルゾンちえみさんや桐谷美玲さんを美術展に向かう途中で垣間見たのも、美味しいアイスについたおまけのような体験。アートに桜に、そしてミーハーな好奇心までをも満足させてくれる、春の東京出張となりました。

 

◎ エルスは、2017年11月8日ー21日の期間に開催される松阪屋大丸名古屋店「ふらんす物語ーパリの時間旅行」(仮称)に出店いたします。この催事は、2015年、2016年と2年連続で開催された「ベルギー物語」に続く同百貨店開催のイベントで、今年は初めてフランスをテーマに扱います。内容や出展する商品に関しましては、随時このブログやFBでご紹介して参ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『ベルギー物語第2章ー麗しのベルギーに恋して』@松阪屋名古屋店、無事終了!

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  昨年に引き続き、今年も参加しました、松阪屋名古屋店での「ベルギー展」

昨年はアンティークソファやクッションなどインテリア雑貨がメインでしたが、今年の顔はアクセサリーとバッグ。加えて秋・冬のコート、ジャケット、ご旅行に便利なインナー、トップスなどのお洋服、可愛らしいアロマグッズ、石鹸など、ご自身にもギフトにも最適なアイテムが集結。ブースの大きさは昨年の3分の1ほどでこじんまりとしていましたが、ヨーロッパのエスプリを十分に楽しんでいただけるセレクションとなりました。

 

 

  今年のテーマは、ベルギー国王夫妻の来日、名古屋ご訪問にちなんで「ロイヤル」。柱に貼られた豪奢なウォールペーパーはMANAS trading社製。黒に金字のフラッグはキリッと引きしまった印象でした。そしてエルスブースのベースカラーはスモーキーなグレー。この色はベルギーに住んできた頃の空の色。本当お天気の日が少ない国なんです・・・!

 

 

  こちらが新聞の折り込み広告にも掲載されたKelly ネックレス&ブレスレット。フィオレーディペスカ熊田和美さんの作品です。透き通った黒のナイロンメッシュチェーンにスワロフスキーパール、クリスタルダイヤピンをリズミカルにあしらった、ちょっと他には見られない個性的なデザイン。パールネックレスというとフォーマルになりがちですが、こちらはどんなお洋服にもコーディネートでき、上品な女性らしさを引き立てます。初日からこのネックレスを目指してご来店くださったお客様も多く、一際注目を浴びました。お洋服は、スカディーの細コーデュロイのワンピースオユーナの大判ストールブリーズ(トラベルセット)ムーニュのミニゴートバッグ。

 

 

  ネックレスにはショート(45cm)ロング(55cm)の2種類があり、お揃いでブレスレットも。その他、リングピアスもセットで用意されているので、トータルコーディネーションもお楽しみいただけます。単独でもセットでも存在感のあるコレクション。どんなシーンで身につけていただくのかはお客様ご自身のお好みで。

 

 

  こちらも熊田さんの作品、フィオーレ・ディ・ペスカ。ベルギー時代からの定番、フォンタナネックレス。スワロフスキーのクリスタルトップに天然石、ビーズをつなげ、まるでたわわな葡萄の房のよう。ニットのセーターやシンプルなワンピースに。ボリュームがあるので胸元がパッと華やぎます。革紐でかけるシンプルな作りですが、革紐の色を変えることで様々な表情が生まれます。今回は本体の革紐の他、もう一本お好きな色をお選びいただけるセットで販売させていただきました。革紐の色の種類は全部で6色。定番のブラウン、ベージュの他、ホワイト、オリーブ、ゴールド、グレーを用意させていただきました。ネックレスの後ろにかかっているのは、オユーナストール、クアドロ。落ち着いたベージュに黄色のラインが挿し色に。パンプキンカラーはまさに10月の色。明日からでもすぐに身に付けたい一品。そのまた後ろがタンピコのストーンウォッシュリネンバッグ、ビバーク。おかげさまでこの展示会で完売となりました。

 

 

 

フォンタナ、2016年の新作はこのシルバー。石やビーズを止める金具がアンティーク調の燻したような銀色、そのトップに白い革紐を合わせています。ネイビーや黒のお洋服に映えます。ネックレスの下に広がる柔らかなストールはオユーナのインターシアニット、シラーラ。コート一枚分のカシミアが贅沢に使われた最高級品です。

 

 

 

そして秋の声を聞いたら、ニットの帽子や手袋も見逃せないアイテムです。

鮮やかな色調と、カシミアには珍しい斬新なデザインで根強い人気、英国のカシミアブランド、オユーナのカシミアマフラー、カシミアハット、カシミア手袋、リングの他、パリのストールブランド、トレパリもその軽やかなデザインで、展示ブースに華を添えます。

 

 

秋・冬の素材といえば、レザーもマストアイテム。オユーナのカシミアスカーフとコーディネートしているのは、スカディーレザーのライダースジャケット。細身ですが、腕と肩にストレッチニットを使っているので動きが楽な作りです。

 

 

そして、今回、ケリーネックレスと共に注目を浴びたのが、こちら。beunperfectのリバーシブルレザーバッグです。デザイナーはイタリア人。彼女のイタリアンカルチャーを体現するような鮮やかな色。裏と表、ヒックリ返してどちらもの面も使えるという機能性。名古屋のマダムのハートをしっかり掴みました。

 

一週間の長きに渡ったベルギーフェアも10月18日に無事終了。中には再来店くださる方もいらして、今年も素敵な出逢いがたくさんありました。エルスのブースにご来店いただきました名古屋の皆様、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。

 

エルスのある大阪中之島では、これからクリスマスに向けてたくさんのイベントがございます。名古屋と大阪は新幹線で50分。ぜひ秋深まるこれからの季節に、中之島のエルスに遊びにいらしてください!大阪でぜひまたお逢いできますことを心より楽しみにしております。

 

ただいまエルスでは、「ベルギー物語第2章」@名古屋にご来場、エルスにて商品をお買い上げ頂いたお客様に、特別限定クーポン(10%割引)を差し上げています。エルスのオンラインショップにて2回目のショッピングでお使いになれます。詳しくはこちら

 

 

 

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els au passageを外から眺めると・・・。

ヨーロッパから発信していた頃は、メールと宅急便のやりとりだけでしたが、実際にお店をするとなると、その場所を知らしめる努力がかなり重要、ということも実感しています。サイトからご注文くださり、大阪からわざわざ芦屋まで商品を取りに来てくださったりするお客様もいらっしゃいます。ところが、お店の場所が奥まっていて、これといった表示も館内にないため、見つけにくいとお叱りを受けることもしばしばです。



3ヶ月延長しても、誘導が不十分ではお客様が増えるはずもありません。ここで、もう一度場所の説明を。



エルス(euro life styleを縮めて最近はこちらの名前で)の催事場があるラポルテというこのショッピングセンターは、JR芦屋駅前にあります。駅改札階と本館の2Fは、デッキで直結しているので、外から来るには非常に足便のよい場所です。 エルスは、本館2階の西北角にあります。西館に繋がる橋の前ですので、外からも中からも入れます。



ラポルテ3


ラポルテ本館を正面から見たところ。1階と2階がショップ階、3階と4階は市役所の出張所や医療施設などのオフィス、5階にはスポーツジムの施設が入っています。モンテメール(フランス語で海と山の意)という駅ビルと対をなして、文字通り海と山に挟まれた芦屋市の中核をなしています。



ラポルテ2


ラポルテは、駅の対面で、六甲山を背中にして建っています。デッキは結構広く、お天気のよい週末には、この場所で「骨董市」が開かれたり、遠足や登山前の集合場所として使われたりもしています。西館の上階は住宅棟となっており、駅前という好立地のため、建物は古くても非常に人気があってなかなか入れないのだとか。



芦屋ラポルテ


本館と東館の間は、アーケードのパッサージュになっています。メタルの装飾やベル・エポック風のランタン照明は、レトロな外観のこの古いショッピングセンターにとって唯一華やかさを感じさせるスポットといってもよいかもしれません。このアーケードには甲子園球場に入る読売ジャイアンツの宿舎ともなる「ホテル竹園」が隣接。プロのスポーツ選手を顧客に持つホテルだけあって、3階にあるステーキレストランはボリュームも味も秀逸です。



ラポルテ4


ラポルテ本館西南角にある駅前レストラン「野菜のごちそう」は、各地からとりよせた新鮮な野菜を使った多国籍料理で人気です。特におすすめなのは、ハンバーグのせいろ蒸し。焼かずにお野菜と蒸したハンバーグを特製の甘いたれでいただきます。営業終了後には、ここのテラス席で喉を潤して帰りことがしばしば。ここではベルギービールも飲めるのですが、ベルギーで出される金額の3倍以上もするので、国産の生ビールが妥当かも。



ラポルテ5


こちらは、本館と西館の間のパッサージュ。反対側のようにアーケードにはなっていませんが、晴れた日には遠くにある六甲山が見張らせて気持ちのよい展望デッキに早変わりです。エルスのある催事場には西北に向かって窓があり、毎日その窓から山を見ています。



エルス・オ・パッサージュ (by euro life style)

〒659-0093 兵庫県芦屋市船戸町4-1 ラポルテ本館2F 西北角

電話番号:0797-22-8100

営業時間:10:00 - 20:00

休館日:第2、第3木曜日
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星のや_水際に広がるエントランス。

決して宣伝のような記事は書くまい、と思ったのですが、知る人ぞ知る、話題の隠れ家旅館というだけあって、結構関心を持っていらっしゃる方が多いようなので、さらに。



星のやエントランス1


まず、このお宿へ行くためには嵐山渡月橋の畔から専用船に乗船します。ここからすでに非日常的。お宿への期待が膨らみます。渡し船は定員10名に満たないほどのサイズでこの日は他にお客様がいなかったこともあり、貸切のリムジンのような優雅さ。



星のやエントランス2


大堰川の景観を楽しみながら10分ほど上っていくと、プライベートの船着き場に到着。ここからはお宿の客人しか上がれません。船の操縦スタッフから、フロントの客室係へ無線連絡。どのスタッフも若く、若干ぎこちなさが残るもののもてなす意欲満々で好感が持てます。



星のやエントランス3


急な傾斜はスロープから石段へ。娘時代を京都で過ごしたことのある母によると、当時京都市には公共のプールがなかったため、夏にはここ大堰川まで泳ぎに来るような高校生が結構たくさんいたそうです。もちろん母もその一人。



星のやエントランス4


その時から、大店の旦那衆御用達然としたこの老舗旅館に密かに惹かれる気持ちを抱いていたらしいのですが、それがこんな今風の大人の隠れ家宿となって、しかも自分が客として足を踏み入れようとは。その間ざっと60年の年月が経っていることを思うと、母だけでなく、私までタイプスリップしたような不思議な気持ちになりました。



星のやエントランス8


改修にあたり、純日本風の家屋は当時からの造りをそのまま残し、できるだけ原型を損なわないよう配慮され、庭と建物をつなぐ踏石、坪庭のデザインは、伝統の技と現代的な感覚を織り交ぜた庭師、ランズスケープアーキテクトの会心の作。こんな配置もありかと思わせる石畳、苔の用い方に目を奪われます。



星のやエントランス5


2月という時節柄、客数が少ないためか、滝の水音だけが響くフロント前のテラス。私邸に招かれた感のある静けさです。



星のやエントランス6


散在する客室のエントランスはすべてこのように独特の石畳と苔、メタルのオブジェで構成されており、整然とした美しさが際立ちます。どこから写真を撮っても一幅の絵。



星のやエントランス7


それまで直線が主体であった各客室のエントランスから、「奥の庭」は禅寺の石庭を思わせる作りにゆるやかな曲線がゆったりと配されていました。お坊様が竹ぼうきで描くような線は、ちゃんとフレーミングされているのでその上を逍遥することもできます。まるで屏風画の中を歩いているような気分。



客室がすべて離れとなって独自のエントランスを持っているので、自分の部屋だけでなく、他の客室の玄関先の造作を見て楽しめる、なんて、これもこの「新設計」の面白味の一つですね。
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花はなくとも

京都嵯峨嵐山。見頃と呼べる花もなく、観光客の途絶える2月ですが、山は青味を徐々に増し、春の新緑前の自然もなかなか良いものです。



嵯峨野嵐山1


嵯峨野の竹林。良く知られた観光のスポットですが、今の時期の平日は人通り少なく、落ち着いて歩くことができます。



嵯峨野嵐山2


この日は幸いに好天、薄暗い竹林が穏やかな日の光に包まれて早春を感じさせます。



嵯峨野嵐山4


竹の中に異なる木のシルエット。筍をとるために整然と手入れされているとこととは趣が一味違います。



嵯峨野嵐山3


妓王寺の苔庭。こちらでも冬の裸の木々がて苔の上に影を伸ばします。葉も花もない素の樹木は、鍛えられたアスリートの筋肉のように力強さを感じさせます。



嵯峨野嵐山5


嵐山旅館「星のや」の奥の庭です。伝統的な石庭に現代的なデザインを取り込んだ空間。石に見立てたスツール、笹や苔の配置が妙、冬の庭らしい風情があります。
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器コレクション

新鮮な旬の素材とそれを盛る美しい器があれば…。海外に住んでいるとなかなか自宅では揃えることのできない和食器ですが、京都奥嵯峨の和食ダイニングでお料理に合わせた皿選び、ディスプレイの妙を堪能しました。



器コレクション1


揚げ出し豆腐を持った木の葉模様の皿。葉は大きな花弁のようにも見え、金の地によく映えます。コクのあるだし汁と揚げ物。華やかな色と柄が暖かいお料理によく合っています。



器コレクション2


さわらの柚庵焼き。深い緑が茶にかかった織部風の皿は焼き物を引き立てるにはもってこいの照り。しし唐、すだち、あしらいのかぶら、それぞれの色を引き立てます。



器コレクション3


京の地酒三種から選んだ嵯峨の辛口は、意外にも肌の荒い化粧掛け陶器に入って出てきました。そのとくりはさらに氷をひいた片口鉢で野趣たっぷりのアレンジ。お酒が主役であればここに笹の葉や冬であれば南天などを飾っても良いでしょうね。



器コレクション4


ほっき貝のぬたはこの時期にふさわしい梅の小鉢に盛られました。いかにも雅な京焼きのようですが、柄のあしらいは現代風。両手に抱えるほどの大きさの鉢に、柄をさえぎらない程度の盛り。二人で取り分けても十分な量です。わけぎの緑が近い春の到来を感じさせます。



器コレクション5


藍の取り皿は万能。絵柄は古典の写しも多いそうですが、こちらは植物と鳥が単純明快にバランスよくお皿全体に描かれています。こうして見ると、イスラムのタイルにも通じるとことがありますね。蔓草は子孫繁栄の意味もあり、万国共通に好まれた柄だそうです。



器コレクション6


サービスの女性スタッフが猪口の入った籠を目の前に披露、形の変わったものは現代作家さんの手によるもの。どれも存在感があっていい感じです。一つ選ぶのに迷っていると、異なる猪口に異なるお酒をついで味見をさせてくれました。目も舌も3つの中から選ぶのに苦労しました。



星のや1




日本の伝統を現代的なセンスで上手に演出した「器コレクション」(上記はほんの一部)は、京都嵐山の「星のや」のダイニングにて。星のや京都は軽井沢についで2009年にオープンし、ちょうど1周年を迎えたばかり。お客様に対峙するスタッフの一人一人が一生懸命なのが伝わります。この日のカウンターでのアラカルトディナーでは、元ソムリエであったというシェフが目の前で蕎麦を打つというパフォーマンスに加え、料理長が食事の終わりを見計らってカウンターまで挨拶に来られました。料理に関する素人の質問にも丁寧に答えてくださったのが印象に残りました。



星のや3


森閑とした山と川に挟まれ、客室すべてが、個々に独立したスイート。客室にテレビを設置せず、小さなお子様連れのお客様は丁重にお断りする、といった確固たるポリシー。自然の懐にすっぽりと抱かれて、真の大人の時間が楽しめます。



星のや京都: 〒616-0007 京都市西京区嵐山元録山町11-2 TEL.075-871-0001
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湯けむりに雪化粧

氷点下のベルギーを後にし、日本に帰って来たとたんにこちらも急な冷え込みとなりました。先週から今週にかけて温暖な関西では珍しい雪です。



2月の雪3


屋根から垂れて日に光るつららです。これは湯治に来た温泉宿のもの。都会ではなかなか見られない自然の作る美しいかたちです。



2月の雪1


山間の川に舞い落ちる雪は花吹雪のようにも見えます。



2月の雪4


川の流れは雪の花びらを吸い込んで飛沫は霞のように白くたちのぼります。



2月の雪5


川の上に枝を張り出しているのは桜。宿の人の話では春先それはそれは美しいそうですが、雪をまとった姿もなかなかの風情があります。



2月の雪6


山と川に挟まれてたたずむ温泉旅館は粉を振りかけられた餅菓子を連想させます。さきほどまで私は川に掛けられた渡り廊下にいました。



2月の雪2


湯けむりを通して見る純日本風の家屋と雪景色。懐かしい日本のその風景にタイミング良く出逢えたことに感謝。今回はバスで片道1時間、関西週末旅行の収穫でした。
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有馬山、金の湯

日本三古湯。日本書紀や風土記に登場することをもとに選ばれた古い名泉をさし、関西の奥座敷といわれる有馬温泉もその一つです。今回の長きに渡った日本滞在は、母が小康を得たのを機に今週で終わります。日本人には何ものにも代えがたい究極のリラクゼーションといえば、温泉。極寒のベルギーに戻る前、神戸に住む兄夫婦のはからいでこの関西の名湯を訪れました。



有馬温泉1


有馬温泉といえば、金の湯。強塩泉のため鉄分が酸化して赤茶色に濁っていることからこの名前がついたそうです。昔を知る母によれば、そのお湯に手拭いをつけると真っ赤になるほど鉄分が強かったとか。効能は「神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、打ち身、くじき、慢性消化器病、冷え性、疲労回復、慢性婦人病 、慢性皮膚病 など」だそう。



有馬温泉4


師走に入った今、紅葉は期待していなかったのですが、市内散策中に、名残の一本を発見。葉の色は、この地の名湯と同じ、赤のかかった金色でした。



有馬温泉3


湯本坂です。名物の炭酸煎餅を売る店のレトロなインテリアが一目をひきます。日中よりも日が落ちてから、丹前姿で逍遥するのにぴったりな町屋通りです。この通りには、この他、酒饅頭や、黒豆菓子、まつたけ昆布など、昔懐かしい菓子や佃煮の店が立ち並んで独特の温泉文化を守っています。



有馬温泉6


小倉百人一首、第58番の歌は、紫式部の娘、大弐三位のもの。「有馬(ありま)山 猪名(ゐな)の笹原 風吹けばいでそよ人を 忘れやはする」平安の世、こうした艶っぽい恋の歌も詠まれるほど、その四季の移り変わりを愛でる貴人が多くこの地を訪れたとか。山の中腹にあるこの湯治場は、決して来やすい場所ではなかったはずなのに、不便と引き換えにでもその風雅を楽しむ贅沢こそ、高貴な身分の方々の特権だったのでしょうね。



有馬温泉2


この日の宿は最近できたばかりの会員制リゾートホテルでしたが、落ち着いたインテリアの快適な施設で、古に思いを馳せつつ、姉、義姉とともに有馬の湯を満喫しました。夕食は目も舌も楽しませる茶懐石で、秋を感じる趣向が一品ごとに凝縮されていました。その主菜がこの地の滋味である猪肉だったのを、食に神経質な姉に合わせて、但馬牛に代えてしまったことだけが後になってみれば少々心残りです。晩秋の猪とは、さていかなるお味だったことか。
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京都嵐山、5分足らずの舟遊び

京都嵐山です。今年名残の紅葉は、朝6時品川発の新幹線で京都に到着した20年来の友人と観ることになりました。



桂川6


大阪から京都に行くのには、もっぱら阪急電車を使うのですが、今回は友人と待ち合わせて京都駅からの出発。駅前からバスに乗り、大宮で嵐電に乗り換えます。バスは紅葉目当ての観光客でかなり込み合うので、市内から嵐山に行くにはこの方法がお勧めです。



桂川1


この日の京都は朝のうち晴天。渡月橋から小倉山の方向に向かって岸辺を歩きます。川面をのぞくと大堰川の水がとても澄んでいることにまず驚きました。底に沈んだ葉の上を、めだかのような小さい魚がすいすいと泳ぐ姿まで水を透して追うことができるほど。



桂川2


毎年必ず京都には足を運ぶものの、訪れる場所はその都度違います。いつも亀山公園を抜けて嵯峨野に出てしまうところを、今回は「渡し船」を利用し対岸へ。乗船料は400円。乗船場にある白い旗を振るとそれを合図に船が近づいてきます。向こう岸に渡るまでの5分足らずの舟遊びですが、水の上から紅葉を観ることができます。



桂川3


もっと本格的に舟遊びを楽しみたい方には、渡月橋から屋形船も出ています。上流の穂津峡に行けば、ダイナミックは保津川下りも。それだけで半日から一日がかりになるので、時間の限られた方は、私たちが試した渡し船で向こう岸に渡り、角倉了以ゆかりの大悲閣(千光寺)を訪ねるというルートが良いかもしれません。山の中腹にあるこの寺の見晴台からは、京都の「絶景」が楽しめます。



桂川4


反対側の岸に降り立つと、先ほどまでいた対岸の隠された顔が見えてきました。少し入り江のように窪んだ一角が左右からの紅葉で吹き溜まりを作っています。傾斜に溜まった葉は、滝のように川へ流れ込んでいるようにも見えますね。目の前に広がるもみじにはもちろん圧倒されますが、遠くから眺めることで新たな発見も。葉の赤と、陽光に照らされて青く光る水の対比は、まさに一幅の絵。



桂川5


谷に響く嬌声に呼び寄せられたのか、川を行きかう船を見守る猿。すでに葉の落ちた木の枝の、しなるような最先端に、移りゆく秋を見送るかのごとく鎮座していました。先ほど見た観世音菩薩と同様、微動だにしません。



桂川7


あいにく昼には日が陰り曇り空。百人一首が編纂された山はもうすぐ冬支度です。
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京都鹿ケ谷界隈

京都鹿ケ谷。哲学の道からさらに坂道を上ると紅葉の隠れた名所があります。茂る木立に守られ佇む法然院と、そのすぐ近く見晴らしのよい高台にある安楽寺がそれです。



法然院1


法然院。水をたたえた泉水にも紅葉。赤や黄色の鮮やかな色が苔むした石によく映えます。その艶やかさはまさに京都の古寺ならでは。



法然院2


その雅な佇まいに魅かれてのことでしょうか。この小さな寺には、谷崎純一郎をはじめてとして著名な文学者や学者の墓が多くあるそうです。それをめあてに訪れる人も絶えないとか。



法然院3


法然院境内に咲く椿。凛として咲く姿が印象的です。



真如堂1


午後の陽光を浴びて燃えるようなこの大木は、安楽寺の門前にあります。安楽寺と法然院とはその間50mほどしか離れておらず、2つ揃って楽に参詣できます。



安楽寺


法然院と安楽寺をつなぐ道で見られるもう一つの紅葉。葉の一枚一枚が風にそよいで動くさまがこんなに可憐。



苔紅葉


燃え尽くしたかのように苔に散るちぢれた紅葉は安楽寺。足元に広がる色の競演にもご注目ください。
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