南仏ホテル_椅子の話その2

一晩眠って疲れが癒された翌日、階下のラウンジをゆっくり逍遥すると、椅子たちがそれぞれいい具合にバランスをとりあってラウンジの雰囲気を盛り上げていることがわかります。イチョウの葉のように広がった背もたれの長椅子、航海図柄のプリント地で張り替えられた肘掛け椅子など、その数、色、種類の豊富さに驚かせられます。



南仏の椅子_6


中央のコーヒーテーブルには、旅行やホテル関連の書籍が積み上げられており、周囲はVoyageというテーマにふさわしい装飾品で飾られています。椅子の配置にもご注目。客人がくつろぐための場所だけあって、整然とさせすぎない配慮が心憎いですね。奥にはピアノが置かれていますが、椅子は中央に背を向け、どちらかと言えば1人つまびくのを楽しむためのコーナーに。



南仏の椅子_10


前に置かれた椅子も演奏用の固いベンチではなく、サロン用の普通の椅子。よく見るとなんと楽譜のプリントのファブリックで張り替えられています。そんな遊び心に感心しながらピアノ周りを良く観察すると、ランプシェードにもやはり楽譜のプリントがありました。



南仏の椅子_11


ピアノの上にアンティークの地球儀をいくつも重ねてディスプレイ。ロココの女王といわれたポンパドゥール婦人の肖像画には、彼女の知性や教養を象徴する地図や地球儀、楽器などのオブジェが描かれていますが、このコーナーは肖像画の背景のような奥行きがあり、椅子に座ればまるで絵画の一部になったかのような気分に浸れます。



南仏の椅子_9


ラウンジの反対側には、先ほど見たものと同じメリディエンヌ風の長椅子。座面には19世紀に上流階級で大流行したカシミアのスカーフがかけられていました。そしてこちらのコーナーには黒いグランドピアノが奥の場所を占め、白いファブリックのややフォーマルな肘掛け椅子との取り合わせです。オットマンはここではラウンジテーブルとなり、その上にチェス盤が置かれ、午後の客人の到来を今か今かと待ちかねているようにも見えます。



南仏の椅子_7


手前には、「ダッチェス・ブリゼ」と呼ばれる珍しい18世紀ロココ朝の長椅子がありました。貴婦人がドレスを着たままでも仮眠がとれるように、長椅子にさらにオットマンを足した簡易ベッドのような椅子です。パリのカルナヴァレ美術館などで18世紀時代の実物を見ることができますが、ホテルでこうしたクラシックな家具を置いているところは大層珍しいのでは。しかも客人が自由に腰掛けることを許されているというのですから贅沢な趣向です。



南仏の椅子_8


ダッチェスの後ろには、3人掛けのソファ。18世紀当時、こうした長椅子は大広間の壁の装飾にぴったり合うように作られていました。21世紀のホテルでは大小とりまぜたクッションのディスプレイのせいで、実際には1人が腰掛けるのが精一杯のようですが。



南仏の隠れ家ホテルで見つけたフレンチの真骨頂ともいえる18世紀風インテリア。かくも優美に着飾った貴婦人のような椅子たちを目の前に、どこから撮っても撮りきれない空間の贅沢さにため息がを漏れるばかり。この朝、ラウンジで腰掛ける人の姿はほとんどありませんでしたが、午後チェックインをするゲストが来るまでは、その襞飾り、クッションの向き一つに至るまで、あくまでも優雅に、美しく、ひっそりと人待ち顔の椅子たちなのでした。
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南仏の光と陰_予言者が生まれた街

数年ぶりに南仏サンレミプロヴァンスの路地を歩きました。ゴッホをはじめ多くの画家がインスピレーションを受けたこの小さな街には、眩しい太陽の光を避けてできた路地裏にまでその魅力が溢れています。



プロヴァンス7


南仏らしいオブジェを集めた可愛らしいアンティークショップ。アンティークというよりはブロカントといった方がふさわしい、素朴ながらも個性のある品揃え。今にもずり下がりそうな鏡や、猫脚の椅子、丸々した食器類の絶妙なバランスが笑みを誘います。



プロヴァンス5


石造りの家によく似合う錆の出た植木棚や欠けのある鉢など。軒先に木製の提灯ががまるで踊るかのように吊り下げられています。



プロヴァンス1


無造作に並べただけに見えるディスプレイには、プロヴァンスの光と陰が創る独特のリズムがあります。オブジェが小躍りして見えるのもそのリズムゆえじっとしていられないからでしょう。



プロヴァンス8


店の横のひっそりとした小路に入ります。8月の昼下がり、窓の鎧戸は固く閉ざされ、歩く人もいませんが、石造りの家並みには歴史に埋もれたミステリーが数多く眠っているようです。



プロヴァンス7


そして小さな掲示板に支えられたかのようなこの窓を見つけました。本名ミシェル・ド・ノストラダム、ラテン語読みではノストラダムス。かの有名な大予言者は、1503年にこの家にて生を受けたそうです。カトリーヌ・ド・メディシスにも重用されたという謎多き予言者は、この青空の下、サンレミの街でどんな幼年時代を過ごしたのでしょうか。
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アンピールのティーカップ

ヨーロッパの情報発信サイト、「ユーロライフスタイル」がスタートして2週間。その間、庭の工事が入ったり、飼い猫ゆずがヤンママになったりで、サイトの更新作業が遅れております。(申し訳ございません…。)フィオーレ・ディ・ペスカのジュエリー以外、日本に向けての本格的な販売は夏以降、と考えているのでのんびりしていることも事実ですが、せっかくなので今日はその中からハイライトをご紹介します。



ピエール・フレイ、アンピール


こちらは、Pierre Freyの新入荷商品「Empire du the」。帝政時代に流行した花綱、獅子、エジプトの骨董、施したティーカップがモチーフです。ナポレオンはフランス革命後衰えた王立セーブル製作所を「国立セーブル製作所」として再建したことでも知られています。現代では「アンピールスタイル」大好き!という人はさすがに稀ですが、ティーカップに収めてしまうとそれはまた斬新なデザインに。マリー・アントワネットの宮廷文化を彷彿させるお菓子のモチーフ「Gourmandise」とともに、フランスのエスプリたっぷりのデザインです。インテリアアクセサリーとして、画像のトレイの他に、ビッグなマッチ箱プレースマットティーバッグを入れる箱があります。
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秘密の花園

前回のシャアリ修道院の続きです。チャペルの裏に、「バラ園」がありました。ここしばらく手入れが入っていないのか、入り口をまるで隠そうとでもすかのようにツルが生え茂っています。子供の頃に読んだ『秘密の花園』という少女向けの小説を思い出し、心がときめきます。誘うように狭い入り口というのもいい感じ。

秘密の花園、入り口

時期はずれなのか、花の彩りよりも生い茂る緑が印象的な花園には、つるバラのアーチで囲まれたベンチがありました。いつも旅をして思うのですが、人の座っていないベンチには、それまでそこに腰掛けてた人たちの様々のドラマや想いが残っているようで心惹かれます。

秘密の花園、ベンチ

こちらは石のベンチ。野放図に育ったつるバラで覆い隠されそうです。でも恋人と来たなら、こちらのベンチに座りたいかも。

秘密の花園、石のベンチ

剪定もせずほったらかしなのかと思えば、バラにはそれぞれ黒いカードに手書きで名前が記されていました。数え切れないほどのバラ1つ1つに名前を書いている人がいることを知ると、心が和みます。このバラは遅咲きなのか、ライバルの少ない花園で唯一真っ赤に咲き誇っていました。

秘密の花園、手書きの名札
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ABBAYE ROYALE DE CHAALIS、鮮やかなフレスコ画

シャンティーに滞在中、近郊にあるシャアリ修道院・ジャクマール・アンドレ美術館にも行ってきました。少し不便な場所にあるので、以前から行きたいと思いつつ機会に恵まれず、今回が初めての訪問です。写真は、修道院内にあるチャペル内のフレスコ画。受胎告知の有名なシーンですが、大天使ミカエルはとても可憐で女性的。対するマリアの方がむしろがっちりとしたマニッシュな印象を受けるのは、当時モデルとなった人たちの影響でしょうか。イタリアらしい鮮やかな色彩とすこぶる状態のよい完成された出来にしばし見とれました。

シャーリ修道院、チャペルのフレスコ画、一部シャアリ修道院、チャペル、フレスコ画、マリアシャーリ修道院、フレスコ画、全体
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森に囲まれたシャトーホテル

先週からベルギーに滞在していた母が、パリCDG空港から日本に帰国するため、見送りがてら、空港からは車で約30分、パリの郊外にあるChantilly シャンティーに来ています。ここには、宮廷料理人『VATEL』にも登場したコンデ公のお城があるだけでなく、一般の観光客が森の中でゆったりと滞在できるシャトーホテルがあります。

シャンティイー、シャトーホテル
ホテルに到着してまずはバーで一休み。ストラディバリウスという名前のこの部屋は、壁にヴァイオリンを思わせるような美しい木目の板張りでした。

シャトーホテル、ベッドルーム

2008年に新装されたばかりという客室だけあって、すっきりとまとまっています。壁紙、ベッドカバー、カーテン、家具の張り地は、高級感のあるPIERRE FREYでシックにコーディネート。フェミニンではありますが、壁の色はモカ、ランプシェードや机は黒、この地方のシンボルでもある馬のエッチングがフレームに入って飾られているので、男性も許せるほどの「甘さ」です。

シャンティー、フォレスト

バルコニーに出ると、360度森に囲まれていることがわかります。木また木、濃淡のある緑のグラデーションを見ていると、目を通して脳の中まですっきりと洗われるような爽快感を感じます。

シャンティー、シャトー

こちらが、シャンティー城。湖水の上に浮かぶ瀟洒な城館です。シャトーとは、もともと「狩場」である森に作られた館をさし、はじめは本当にシンプルな作りであったものが、ルイ14世の時代から、建築として様々な意匠が加えられて進化していきました。
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南仏の街、アートな看板コレクション

さて、また少し南仏の「取り置き画像」のご紹介いたしますね。

キャンピングカーの旅では、自然の恵み豊かなブドウ畑やオリーブの並木の続くカントリーロードを1−2時間ドライブ→丘陵に散在する中世の小都市跡を探す→歩いてその市街を散策する→広場のシンプルなカフェでお食事、というこのパターンの繰り返し。石の家の魅力は、前回ご紹介した扉や窓だけではなく、レストランやブティックの看板にもありました!石壁に掲げられたポップアートです。その商売や商品がすぐにわかるよう、人の目を引くシンボルやマークに意匠をこらした看板を見上げ見上げ、路地裏を歩くのも、ヨーロッパの旅の醍醐味です。

南仏、看板コレクション3南仏、看板コレクション5南仏、看板コレクション4南仏、看板コレクション2南仏、看板コレクション1
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ラヴェンダーを摘みに、ドロームへ。

さて、南仏セナンク修道院で有名なラヴェンダー畑を求めて周遊していると、実際にラヴェンダーを栽培している地方は、隣接したローヌ・アルプス地方、ドロームのあたりに多いということを今回再発見しました。車をローカルの道なりに時速80キロぐらいで走らせていると、点在する紫色の絨毯のようなラヴェンダー畑が、繰り返し目の前に現れます。木立や丘の影から一面に広がるラヴェンダーの畝を見つけるたび、夫と二人、歓声を上げることしきり。先の画像のキャンプ場も、ちょうどこの地域で、ラヴェンダー畑の目の前にあり、子供が花を摘んでいました。

ラヴェンダー畑、ドローム地方ラヴェンダー畑、ドローム地方2ラヴェンダー畑、ドローム地方3

実際には、花の満開の時期には少し過ぎていて、花が刈り取られてしまった後の畑も多く、色も鮮やかというよりは、パステル調に少しフェイドアウト。もし、ラヴェンダーを愛でに次回来るとしたら、やはり7月の第一週からがよいでしょうね。
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石の家に住みたい!扉コレクション

石でできた南仏の家には魅力が一杯。これはその一部、扉コレクション。どの扉も、中世のお伽噺にそのまま登場できそうな存在感。

石の家、扉コレクション1石の家、扉コレクション2石の家、扉コレクション3石の家、扉コレクション4
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南仏プロヴァンス、車と人と猫一匹

ラングドック・ルシヨンでの1週間の滞在を終えて、夫の家族はそれぞれのルートで家路へと向かいます。夫とりんごと私は、キャンピングカーに乗り換えて、新たに南仏プロヴァンス周遊の旅へ。プロヴァンスにはこれまで何回も訪れていますが、今回は3年ぶりなので気持ち新たにまた懐かしい場所を辿ろうと思います。カマルグの草原を走る白馬や、青々としたラヴェンダー畑、ローマ人の遺跡など、何回来ても魅力のつきない地域です。今回は、りんごを連れての2人と一匹の旅。また違った発見もあるでしょう。

プラタナの並木
車中猫、りんご
ラヴェンダー畑、セナンク修道院
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