アントワープでペアルック

日中でも零下に近い極寒の中、久しぶりにアントワープへお買いものに。そこで見かけたペアルックです。ベージュの帽子、細身の体にキルティングのジャケット、細くて長い脚にぴったりした白いパンツ&ブーツで颯爽と歩く女性。連れているわんちゃんも超スリムで短毛、その身体にやはり上品なグリーンのキルティングコートを着用。その見事なマッチングぶりに感激して、即座にiphone撮りだし後ろ姿を撮らせていただきました。(本当は前からも撮りたかったのですが・・・。)



アントワープ3アントワープ2アントワープ4


ペットってどうしてこんなに飼い主に似ちゃうんでしょうね。ディズニー映画101匹わんちゃんのはじめにも、主人公がはじめて出逢う公園で、親子のように似た飼い主と犬がたくさん登場するシーンがありますが、現実にあるこの奇妙な現象を上手に演出、的を得たエピソードで大好きです。



それにしてもやっぱりアントワープはファッションの街。ルーヴァンでは見られないペットのお洒落に脱帽。
アントワープに暮らしたい | comments(0) | -

ヴェルディ、『ドン・カルロ』 a la flamande (後編)

そして、こちらは実際の主人公、「ドン・カルロ」と「エリザベート」。この二人は元婚約者同士で、フォンテンブローの森ではじめて逢ったその日にお互いが一目惚れ。その直後、政略的な判断で、舅となるはずだったフェリペ2世にエリザベートが嫁ぐことが知らされて、『ドン・カルロ』の悲劇が始まります。

ドンカルロ

スペイン王子ドン・カルロもフランス王女エリザベート・ドゥ・ヴァロアも歴史上実在の人物。二人が恋仲であった史実はないそうですが、なんと生年と没年が同じ。そこに後世の作家が因縁めいたものを感じ、ドラマに仕立てたことは想像にかたくありません。ただ、本当のカルロス王子を伝える風聞はあまり芳しくなく、精神錯乱を起こした結果、父王によって牢獄に幽閉され、24歳で牢死。一方、現実のエリザベートは、フェリペ2世とは2人の娘をもうけ、夫婦仲はきわめて良好。王が彼女のために舞踏会を開いたり、自ら朗読会に参加したりと幸せな夫婦生活のエピソードが残されています。

オペラ5

この日、ドン・カルロ役、テナーのJean-Pierre Furlan が唄えなくなり、歌のみ代役Keith Ikaia-Purdy が舞台袖で唄い、Furlan本人は演技だけ、というかなり異例な公演となりました。なぜ演技も代役がしないのか、という疑問もありますが、かなり凝った演出に加え、他の出演者との絡みが多い舞台で、急遽演技まで完璧に代役をこなすのは無理、という配慮からでしょう。でも唄えないオペラ歌手ってちょっと悲しい。容貌がもっと「王子様」な人だったらまだしも、この人、頭もさびしい、「村の田吾作ドン」的風貌の持ち主。

オペラ7

こちら、タキシードに身を固め、エリザベートをエスコートする、「チョイ悪」親父フェリペ2世。生涯何回も政略結婚を繰り返した彼は、”ブラディメアリー”として恐れられたイングランド女王の夫であった時期もありメアリーは11歳年下でハンサムなフェリペにぞっこんだったとされています。この公演でのバスとテナーそれぞれとのツーショットを比べると、どう見ても、エリザベートはフェリペ2世と一緒のときの方が幸せそう。事実14歳だった彼女と結婚した当時、フェリペ2世はまだ32歳の男盛りだったそうです。イタリア人のFrancesco Ellero d'Artegnaは、背が低いことを除けば、声も風貌も演技も素晴らしくて申し分なく適役でした。

オペラ6

さて恋人を奪われて、やけっぱちになったカルロは、父に対抗する手立てとして、スペインの圧政に反発しているフランダース地方を治める役を自らかって出ますが、あえなく却下されます。フランダース独立を支援することを誓い合った親友ロドリーゴ(バリトン)は、名誉のために命を捨てますが、主人公のカルロは相変わらず父王の前で子供のように地団太を踏むばかり。そのふがいなさにエリザーベートからも剣突を食らわされるシーンも。でも本来オペラの主人公であるテナーって大体こんなふうに優柔不断で気弱な男性が多い、どうしてなんでしょうね。

オペラ8

ダンディーで俗世の権力の頂点に立つスペイン王も、実は宗教の前では「従う者」に他ならない。重々しいバスで時折舞台を徘徊する宗教裁判長は、この赤い服を着た人。この人の役の意味が理解できないと、このオペラに登場する人々の苦悩はまったく現実味を帯びず、オペラもただの恋愛四角関係の茶番劇になってしまいます。カソリック教会によるプロテスタント迫害の歴史や、スペイン、フランス、イギリスといった大国の領土争い、ハプスブルグ家による婚姻政略、オランダ語とフランス語(そしてちょっぴりだけどドイツ語も)を公用語とするベルギーの歴史って、掘り下げていくとこんなに面白い。

カール5世


最終幕で、ドンカルロとエリザベートを、墓石の中にひきずりこむ亡霊「カール5世」は、フェリペ2世の父で、カルロの御祖父さん。スペイン王というだけでなく、神聖ローマ帝国の皇帝でもあった人。ベルギーのゲントで生まれています。フェリペ2世にはないハプスブルグ家の「あご」を持つ孫カルロとの親密感もなんとなく理解できるような気がします。

ドイツ人の書いた戯曲を、フランスのオペラ座が、イタリア人の作曲家に依頼してできたこのオペラ。ヨーロッパ王家の系図を横に置いてその舞台を観ると、新たな興味が深まること請け合いです。

※蛇足ですが、このオペラが初演された1967年のパリ万国博覧会に、明治維新後の日本が初参加しています。日本文化が西洋に広められるきっかけとなりました。

アントワープに暮らしたい | comments(2) | -

ヴェルディ、『ドン・カルロ』 a la flamande (前編)

アントワープでヴェルディの『ドン・カルロ』を観て来ました。16世紀のスペインの宮廷を舞台に、フェリペ2世やその息子ドン・カルロ、フェリペの后となったエリザベート・ドゥ・ヴァロワ、美貌で名高いエボリ公妃など歴史に実在した人物が登場するグランド・オペラ。その物語は、当時のフランドル地方(現在のオランダ、ベルギー)がスペインの圧制に苦しんだ時代を描いていることもあってフランダースオペラがこれをいかに演出するかが見所です。

ドンカルロ1エボリ
脇役の目立つオペラは他にもありますが、このドン・カルロほど、バスやバリトン、メゾ・ソプラノの活躍するオペラも珍しいかも。ちょい悪親父風フェリペ2世(バス)のアリア「彼女は僕を愛していない」や、片目(だけど絶世の美女)のエボリが唄う「ヴェールの歌」は、今回のアントワープ公演のキャスティングのように、歌唱力だけでなく、容姿、演技力の備わった歌手にあたると、舞台がそこで一気に盛り上がります。

エボリの夢

4時間以上もの長いオペラを中だるみなく常に緊迫した雰囲気を保ちフィナーレにつなげていく苦労は並大抵ではありません。まず、グランドオペラに付物の幕間のバレエの代わりに「エボリの夢」と題した寸劇が組み込まれました。60年代頃の中流核家族の住まいで、妊娠中の若い妻エボリが、勤めから帰ったドンカルロの世話を焼き、夫の愚痴を聴いたり、ディナーに準備した鳥の丸焼きを焦がし客に隠れて出前ピザを頼んだり、ありふれた一般新婚家庭の日常が繰り広げられます。

エボリの夢2

実際のエボリは、情熱的、恋に奔放で、嫉妬深く、カルロを愛しながらもフェリペ2世と不倫に陥るような破滅型キャラの持ち主。そんな彼女の「女心」も蓋を開ければこんなにたわいなく、かわいいもの、とコメディータッチの演技が観客を笑わせ、暗く重たいエピソードが続く前半で生じた緊張と肩の凝りを和らげます。セリフは一切なくパントマイムがすべて。もともとバレエのために作られた音楽なので、躍動感たっぷり、オーケストラの演奏にも気合が入ります。

オペラ3オペラ2

そして、後半につながる休憩時間には、バーや客席に、TVのニュースキャスターやパパラッチが出現!実際にVTMで人気の『ROYALTY』という番組でキャスターをしているKathy Pauwelsがライブで登場し、報道番組さながらに、舞台のメインキャストを紹介していきます。

オペラ4オペラ1

その間、捕らえられたフランダースの新教徒たちが、鎖につながれて館内をひきまわされたり、オーケストラの管楽器が客席に入り込んで演奏をしたり、当時のプロテスタントを模した群集が圧政抗議のビラを配ったり、一歩間違えれば混乱を引き起こしかねない仕掛けが次々と繰り広げられ、観客は目が離せません。幸いにして、客の年齢層が高いこともあって、皆さんグラス片手に落ち着いてこの”サプライズ”を楽しんでいるようでした。

※この『ドン・カルロ』は3月13日まで上演されています。これからご覧になる方にはネタを明かしてしまってスミマセン。でもイキナリな演出に驚かされるより、「来るぞ来るぞ」と待ち構えている方が満喫できるかも。とにかくエンタテーニングな舞台。エリザベートの「世の空しさを知る神」など要所要所のアリアも聞かせます。
アントワープに暮らしたい | comments(0) | -

皿の上の風景

ミシュランやゴーミヨで星のついたレストランと同じくらい美味しくて、お店の雰囲気も最高、予約なしでも時間を選べばいつでも気軽に入れてお値段もリーズナブルなお店が、ベルギー、アントワープにあります。日本から来た料理人にも帰る前に一度是非「食べるアート体験」をしてもらいたくて、ぐずつく天気の中、久しぶりのアントワープへ。

het gebaar

このレストランの料理の素晴らしさはとことん手をかけ加工した食材によるプレゼンテーションにあります。繊細でディテールにこだわった盛り付けは、まるで日本家屋の「坪庭」のよう。白いディナー皿の中で繰り広げられる造型のパーツはすべて新鮮な食材で作られていて、たとえそれが皿の隅に垂らされたたった一滴のソースであっても、肉と肉の間に挟まれた一片の薄い膜であっても、すべてに鮮やかな色と凝縮した旨味があります。

hetgebaar

その自由な発想はどこから来るのか不思議に思っていたら、シェフが元パティシエであったということを知って大いに納得。確かにソースに忍ばせたほんのりした甘みや、赤いベリーや柑橘系のフルーツの持つ彩りを巧みに組み入れた技は、菓子職人のテクニックに他なりません。ミルフィーユ状に重なった牛肉のカルパッチョ、スピナッチのソテー、フォアグラの「クラブサンド」は絶品。刳り貫いたメロンボールのようなクロケット、ウェハースのようなポテトフライ、ソルベのようにすくいとられた粒状パスタ、肉や魚のメインコースでありながら見た目はそのままデザート皿を見ているかのよう。どこから見てもどこから食べても驚きの連続です。

het gebaar3

お店の名前は「Het Gebaar」、アントワープ市内、レオポルド通り、ボタニカルガーデンの中のあるランチカフェです。室内はシックでフェミニンなティーラウンジ風。アンティークオブジェが窓際や飾りだなに置かれて、小窓からはボタニカルガーデンの四季が見晴らすことのできます。お買い物帰り、お散歩帰りに便利な立地条件も文句なし。お食事のメインは軽めにしてデザートもしっかり楽しみたいという女性客には理想的なお店といえるでしょう。

het gebaar4 het gebaar5

玄関の傘立て、化粧室のシンクの下にはさりげなくラタンのバスケットが。ファブリックの色使い、モダンに過ぎない食器やグラス、アンティークの飾り方など「ベルギーインテリア」のエッセンスすべてがここに集結しています。

het gebaar6

オランダ語で「ジェスチャー」というこの名前には、指先で様々な形を作って意思を伝える手話の意味がこめられているのでしょうか。カフェとしてだけでは勿体無い。非日常的な食のアート体験、お勧めです。

**後日談ですが、こちらのシェフ、ロジャー・ヴァン・ダムさんは、ゴーミヨの「2010年シェフオブザイヤー」に選ばれたそうです。これは、12時から18時までしか開店しないカフェレストランのシェフとしては快挙。そして22日の週からはご家族で訪日。東京都内ホテルで料理関連イベントに招聘され実演もされるとか。デザートメニュの一品、チョコレート尽くしの「Big in Japan」には、日本での成功を期しての思いがこもっていたのかな。
アントワープに暮らしたい | comments(0) | -

アントワープ、お買い得物件のカラクリパートII

アントワープ、売家、中庭


さて、もう一度、中庭の様子を見ていただきましょう。玄関につながる通路ももちろん当時の名残の石畳。風情がありますが、横にそびえたつ壁が少し牢獄のような…?もちろん今は真冬で緑が一切ない状態、一番寂しい季節ではありますが、それにしても、四方が壁でしかも青空を見上げようと思うと、高層アパートのテラスから隣人に見下ろされる、というのはツライですよね。うーん、腕組みながら未練を残して現場を後にしました。(後日談:建物自体の魅力と価格の甲斐もあって、1週間もたたないうちに売れていました。)
アントワープに暮らしたい | comments(2) | -

アントワープ、お買い得物件のカラクリ

アントワープ、売家キッチン


ご無沙汰しました。日本からのお客様でずっと留守をしていましたが、今日からまた平常に戻りました。さて、アントワープお買い得物件の「カラクリ」ですが…。この上の写真を見て下さいね。ちょうどキッチンの中から中庭が見えるのですが、お向かいのアパートのテラスが見えているでしょう?そうなんです。この家は、100平米の中庭と一緒にちょうどその一角だけが当時のままで残され、その周り四方を高いアパートメントビルで囲まれてしまっているのです…。
アントワープに暮らしたい | comments(0) | -

時代に取り残された一軒家

アントワープ、時代に取り残された一軒家

アントワープの街中、公園の側の高級住宅街に面白い物件を見つけました。19世紀のお城の一部だったというこの小さなお家は、100平米の2階建て。外側は当時そのままの姿を残していますが、中はきれいに改装、床暖房あり、最新のキッチンありと快適に工夫されていました。やはり100平米ほどある石畳の中庭には獅子の頭のオーナメントなど当時を偲ばせるディテールがたくさん。こんな可愛らしいお家がなんと30万ユーロほどで手に入ると聞いてびっくり。さて、そのカラクリは…?
アントワープに暮らしたい | comments(2) | -

あめ色のハーバーに浮かぶスタイリッシュなヨット

アントワープ、プライベートヨット


目下、街として注目しているのはアントワープ。世界最大級の運河の街である、ダイヤモンドやファッションでも有名な、知る人ぞ知るお洒落な大人の街。ハーバーに何気に停泊中のヨットも、白と黒のすっきりしたデザイン。思わず見ほれてしまいました。
アントワープに暮らしたい | comments(1) | -

ヨットハーバーのある街

アントワープ、ハーバー


正月明けの土曜日、アントワープに行ってきました。開発めざましいこの街はそこかしこ工事中だらけで、車で通り抜けるのは至難の業なのですが、古いお屋敷街や、ヨットハーバー、運河沿いを散策するにはとても楽しい場所です。ベルギーの、オランダ語圏の中でも、独特のカルチャー、雰囲気のある街です。
アントワープに暮らしたい | comments(0) | -
1